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みぃとクロ。-タルパとの生活-

タルパと生活を共にするオカルトちっくな妄想日記。

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ヤギとお話①

ヤギが帰ってきたのでその記録を残しておきます。
イチャイチャまではいきませんが、近いものはあるので苦手な方はスルーしてください。

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「マスター、ただ今戻りました」

彼が消えてから早一カ月。ある日の夜、突然ヤギが帰ってきた。
今回は随分長い事家出していたし、帰ってくる時は気の利いた演出でも披露してくれるのかとちょっとは期待していたのだが・・・なんてことはない、私がいつも通りパソコンをいじっていたら背後から彼の声がしたのだ。

声がする方を振り向くと、私の席から少し離れた位置でヤギが跪いていた。
私は少々驚きながらも立ち上がり彼を見下ろす。一見、特に変わった様子はないようだ。次の言葉を待ってみるが、彼は私の応答を待っているのか、「ただいま」と言ったきり黙ったままだ。

私が何か言うまでこのままか・・・でも帰ってきた時に掛けてやる言葉なんて特に考えていなかった。何と言ってあげたら良いかしら。でもあんまりお堅い事言うと余計に気まづくなるかもしれないな。
私は首を傾けると、うーん・・・と小さく唸った。


みぃ 「えーと、びっくりした。お帰り・・・長かったね。」

ヤギ 「申し訳ございまセン」

みぃ 「いいよいいよ。私も悪かったし・・・でもいきなりいなくなっちゃうのは良くないよ。」

ヤギ 「ハイ。ご心配をおかけしました」

みぃ 「うーん全くだ。もうするなよ・・・」


仁王立ちで腰に両手を当てる偉そうな私と、髪の毛一本揺らすことなく、きちっと跪いた状態の姿勢を保ち続けるヤギと・・・久しぶりに再会した2人は、傍から見ると少し異様な空間で淡々と言葉を交わしていた。
私はヤギの主で、ヤギは私の従者だ。だからこういう構図は別におかしくはない。そうは言っても日頃はもっとフランクな関係なので、改まってのこういうやり取りはなんだか・・・肩がこる。


「いつまでそうしているの?もういいから立ちなさい・・・」


見兼ねた私がそう声を掛けると、ヤギが俯いたまま静かに立ち上がった。が、今度は立ち上がったまま全く動く様子が無い。何なのよ・・・ちょっと疲れてきた。


みぃ 「どうしたのさっきから。もしかしてまだ怒ってる?それとも反省アピールとか?そういうのどっちも要らないよ」

ヤギ 「・・・イエ。」

みぃ 「アッソ、じゃあ普通にしなさいよ。ホラこっちおいで・・・」


気を使って損した。そう思いながらヒラヒラと手招きすると、ヤギがゆっくりとした足取りでやってくる。
少し届く距離まで来た彼に向って私が手を伸ばすと、彼はその手をとって自分の頬へと導いてくれる。そして、更に2人が重なるほどの距離まで来るとようやく彼の歩みが止まった。

おいでとは言ったが、これじゃ近すぎて顔が見えないじゃないか。仕方ないので私が顔を上げようとすると、それより先に身体を屈めたヤギの顔が目の前に現れた。
あ、キスをするのかな・・・と、思いきや私の唇に触れる事は無く、しかし彼の真紅の瞳は意味深に私を見つめている。

見慣れた顔ではあるが、久しぶりの再会でこんなに間近で見つめられると流石にやりにくい。相手のペースに飲まれたくない私は、彼の頬にあてがっている手に少し力を入れ距離を保ちつつ、それとなく目を反らしながら話し始めた。


みぃ 「随分長い間ご無沙汰していたじゃないか。」

ヤギ 「エエ。」

みぃ 「エエじゃないよ。平然としちゃってさ。」

ヤギ 「・・・・・」

みぃ 「たまには『寂しかった』とか『会いたかった』とか言って、泣きべそ位かいてみせろっての。本当にお前は可愛げが無いんだから・・・」


するとヤギは、私から視線を逸らすことなく頬にあてがわれたその手を取ると、自分の唇に押し当てた。
私の手に、彼の柔らかく温かい肌の感触が伝わってくる。一瞬、手元に気を取られ言葉に詰まった私は、困った様に目前の彼へと視線を移した。


みぃ 「ちょっと、何・・・今度はご機嫌とり?」

ヤギ 「・・・・・貴女ハ?」

みぃ 「うん?」

ヤギ 「貴女は寂しかった・・・?」





みぃ 「な、なな、イキナリなんだよ?!」

ヤギ 「私に・・・会いたかっタ?」

みぃ 「わ、バカよせ、よせって!・・・そういうのやめてよ・・・・・」


物憂げな表情と共に思わぬ言葉を振られ、恥ずかしさと戸惑いで一気に頭に血が上った私は、更に接近してくるヤギを制止しつつ急いで自分の手を彼の手から引っ張り出して後ずさった。
そんな私の反応に彼は少し寂しそうな表情を浮かべたが、それ以上何をすることはなく、右手を自分の胸元に置きながら軽く会釈をすると再び沈黙してしまった。


この時、もしも彼の問い掛けに「寂しかった」と素直に答える事が出来たなら、きっと違った展開になっていたのだろう。でも私にとって弱みを見せるという行為は容易なことではない。たとえその相手が自分のタルパやナフラであったとしても。
そしてそれが自分やパートナー達を延々と苦しめている・・・それは分かっているんだけどな。
私は彼に気付かれぬ様、静かに唇を噛み締めた。


*


あれから暫く。私は部屋の隅に座り込み、何も考えずぼうっとしていた。
そして気持ちが落ち着き冷静になってくると、今度はヤギの事が気になって仕方ない。まずいことしたな・・・あの時冗談まじりでも照れ隠しでも半ギレでも何でもいいから、とにかくYESって言えば良かったのに・・・。

気まずさが漂う中、コソッとヤギに意識を向けてみると、私の隣にいる事が分かる。続いて全体を確認すると、私にピッタリと寄り添いながら正座をしている姿が見えた。瞳を閉じて俯いてはいるが、怒っている様子はない。大丈夫そうだ・・・きっと。

それに先程は突っぱねてしまったけれど、こうやって傍でずっと一緒に居てくれたのだから、流石にまたどこかへ行ってしまう事は無いだろう・・・・・多分。


些か不安ながらもそう解釈した私は、改めてヤギの方へと向き直った。
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| @ヤギ | 21:43 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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