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みぃとクロ。-タルパとの生活-

タルパと生活を共にするオカルトちっくな妄想日記。

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クロと人形①

前回お話しした通り、クロの事を書いていきます。

私はクロに、人形を作る為に髪の毛を渡す約束をしていました。
どうしてそういった話になったのか経過を知りたい方は

お前本当に可愛くねえなぁ(しみじみ)
でも、大好き。
改めて聞いてみる①
改めて聞いてみる②
改めて聞いてみる③
クロと話をする前に
クロとお話①
クロとお話②
クロとお話③

この辺りを読んでいただくと大体の流れはお分かりいただけるかと思います。

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11月に入り、下降気味だった私の調子も落ち着いたので、予定より随分遅れてしまったけれど、約束通りクロに髪の毛を渡す為美容室へ行くことになった。

次回の仕事休みの日に髪を切りに行く予定を入れて、その日はヤギに「クロとの約束を果たす日だから」と、自宅へ帰って貰う様お願いをする。契約が成立しないとクロはいつまでも私の家に居る為、早く向こうへ帰って欲しいと願っているヤギは素直に応じてくれた(ヤギは私とクロの契約内容は知らない)。

髪を切りに行く前夜、まずヤギが帰り、そしてクロも、「準備があるから家に帰る。明日には戻るよ」と言い残し姿を消していった。

そして当日。
準備をして部屋でクロを待つ。出発時間が間近になった頃、クロの声が聞こえたので姿を確認しようと意識する・・・と、そこには見慣れない姿の「変な恰好の人」が立っていた。


クロ:「やあ、待たせたね。」

みぃ:「え?・・・ど、どちら様でしょうか・・・」

クロ:「何言っているの、みぃ。ボクだよ。」

みぃ:「は?クロなの?どうした、一体その・・・」


一体その恰好は何だ・・・と言いかけて、私は彼の姿を凝視しつつ沈黙した。
姿を現した彼の姿は、学生の様な恰好をしていた。学生と言っても、今時のよく目にするブレザー服ではなく、一昔前の・・・明治時代とか大正時代とか・・・その辺の頃に使用されていたと思われる「学生服」だ。そして学生服の上には、膝辺りまでの長さがある黒いマントを羽織っている。
一瞬クロと気が付かなかったのは、その見慣れない服装に加え、今ではまずお目にかかれない「学生帽」を深々と被っていた為、顔が隠れて良く見えなかったからだ。


「どうしたの、その恰好・・・」

そんな不思議なクロの装いを一通り確認し、ようやく慣れてきた私は改めて彼に聞いてみた。


クロ:「これはボクの『正装』さ。」

みぃ:「正装?あの、その・・・これが?」

彼の予想外の返答にびっくりした私は、その衣装に顔を近づけてみた。しげしげとマントを眺め、手に取って引っ張ってみたり、マントの中の制服も撫でてみる。質感はよくわからないが、正装と言うだけあって、高級そうな生地を使用している・・・様な気がする。
アチラ(ダイブ界)では着物姿の彼ばかり目にしていたが、こんな服を持っていたとは今まで知らなかった。

暫くされるがまま大人しくしていたクロだったが、私が衣装を間近で確認し、改めて驚いたように彼の顔を見上げると、そんな私を見つめつつ、頬の辺りにそっと手を当てがう。そしてその彼の手に私は、いつもと違う違和感を感じた。温かいはずの手の感覚が伝わってこないのだ。
私はこの感触を知っている。ヤギが私に触れる時と同じものだ・・・そう、これは、『手袋』だ。

よく見ると、クロは白い手袋をつけていた。私はその慣れない彼の手を確認するかのように自分の手を重ねてみる。するとクロは目を細めながら、静かに話し掛けてきた。

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クロ:「今日はみぃから髪の毛を貰う大事な日だから、きちんとした格好で行こうと思っていたんだ。・・・そんなに変かい?」

みぃ:「そういうわけじゃないよ。別に、いつもの姿で構わないのになと思って。」

クロ:「いや。契約と言えど、今回の件はみぃが快く思っていない事だろう。それでもボクに髪の毛を譲ってくれるわけだから・・・誠意を持って受け取ろうと思って。」


クロなりに気を遣ってくれていると言うことか・・・まあ、良い心掛けだ。実際私としても、その様に気持ちを表現してくれたことでいくらか心が穏やかになれた。


みぃ:「そっか。気持ちは嬉しいよ、ありがとう。その服もとても似合っているね。この手袋も・・・ヤギと同じ物かな?」

クロ:「・・・その言われ方は嬉しくないな。」

みぃ:「あ、ご、ごめん。私執事の手袋とか好きだから似てるしカッコイイなと思って・・・悪気はないんだよ・・・スイマセン。」


彼の気持ちを受け、ちょっと嬉しかったので褒めようと思ったのだが・・・余計な事を言ってしまった。
私はスーツにネクタイとか、燕尾服に手袋とか、他にも制服とかビシッとした衣装が好きなので、クロの今回の装いにも興味がある。しかし、その・・・明治だか大正だか・・・一昔前の学生服が彼の「正装」と言うのはやっぱり驚いたけれど。
でも彼の家は昔ながらの日本家屋で、内装も丸いちゃぶ台やら和タンスがあったり、火鉢や鉄瓶が置いてあったり等レトロな造りではあったので、それを考えれば別に不思議なことではないのかもしれないが。

クロを迎え入れたのは3年ほど前。確かに彼は平成の世に生まれたはずだ。
でもこんな彼を見ていると、実はクロはずっと前から黒猫としてどこかで生まれて生活してきて、猫又になって私と出会ったのではないか・・・そんな不思議な感覚にとらわれる事もある。
クロは、私の知らない時代を生きてきた猫なのかもしれない。そう思うと少し胸が高鳴った。


みぃ:「ああ、うーん、ええと。他にも気になることがあるんだけど」

クロ:「うん、何?」

みぃ:「その、『壺』?は・・・?』

クロ:「ああ。これ、ね。」


ここで気まずい空気は避けたい。私は直ぐに話を逸らす。
するとクロは、何事も無かった様に視線を下に向けながら、手袋をはめた手で大事そうに持っていた、壺の様な形状の陶器を私の目の前に差し出した。
大きさとしては男性の手の平に丁度乗るサイズ。仔猫が1~2匹入る位か・・・さほど大きなものではない。色は白っぽいクリーム色で表面は光沢を帯びており、つるりとした印象を受ける。


クロ:「これは、みぃの髪の毛を入れる為の器だよ。」

みぃ:「おいおい・・・ご丁寧に入れ物まで持ってきたのか?」

クロ:「そう、大事な物だから。この日の為にボクが作ったの。」


しかも自作か。そこまで用意してくるとは・・・「誠意を持って」とは言うものの、正直驚いた。
単純に髪の毛を切って渡すだけ・・・私はそう思っていたけれど、クロにとってはその行為すら「単純な事」ではないようだ。


まあ、いい。約束は約束だ。私は予定通り、彼を連れて髪の毛を切りに行くことにした。
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| @クロ | 00:24 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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